九州大学 先導物質化学研究所 物質機能評価センター
多目的X線回折装置

X-ray Diffraction & Scattering

多目的X線回折装置

Rigaku · SmartLab MP ·2026年導入

筑紫キャンパス

粉末・薄膜・小角・2D・微小部までを1台で完結するマルチ測定XRD。 CBO 光学系の柔軟な切替と HyPix-3000/XSPA-400 ER により、 In-Plane/USAXS/GI-SAXS/100 μm 微小部マッピングなど先進測定にも対応します。

設置場所
筑紫キャンパス / 南棟 109号室(西)
担当者
松本 泰昌

基本仕様

X線源
回転対陰極(Cu)、9 kW(45 kV - 200 mA)
検出器
HyPix-3000(0/1/2D 対応)、XSPA-400 ER(高エネルギー分解能)
オプション
  • CBO / CBO-α(単色化)/ CBO-μ(100 μm 微小点ビーム)
  • 入射モノクロ : Ge(220) 2結晶 / Ge(220) 4結晶 / Ge(400) 2結晶
  • 受光アナライザ : Ge(220) / Ge(400)
  • 薄膜ゴニオ(In-Plane・反射率XRR・逆格子マップRSM・極点 etc)
  • SAXS / USAXS(疑似 Bonse Hart 光学系)
  • 2D-SAXS/WAXS(透過配置)、GI-SAXS/WAXS(斜入射配置)
  • 100 μm 微小部XRD + XY マッピング(4インチφ試料)

装置概要

多目的X線回折装置は、粉末試料の定性分析から、薄膜の構造評価、ナノ構造の小角散乱、2次元散乱測定、斜入射測定、微小部マッピングまで、ひとつの装置で多彩な測定モードを切り替えられる多機能型のXRD装置です。

最大の特長は、リガクの CBO(Cross Beam Optics)ファミリー を採用した光学系の柔軟性にあります。集中法・平行ビーム法・単色化発散ビーム・100μmの微小点ビームといった異なる光学系を、煩雑なアライメント作業なしで切り替えられるため、ひとつの試料に対して目的に応じた最適な測定条件を素早く選択できます。

検出器側も、広い検出面積をもつ HyPix-3000(0/1/2次元対応のフォトンカウンティング検出器)に加え、XSPA-400 ER(高エネルギー分解能検出器)を装備しており、低バックグラウンド測定や微量相検出にも対応します。さらに Ge入射モノクロメータ・受光アナライザ を備えることで、エピタキシャル薄膜のような高分解能測定にも対応できる構成です。

汎用XRD装置がカバーする粉末・薄膜の対称反射測定はもちろん、面内方向の回折(In-Plane測定)、超小角散乱(USAXS)、2D-SAXS/WAXS、斜入射SAXS/WAXS、100μm微小部マッピング といった、研究現場では「別の装置で測らないといけない」と思われがちな先進的測定までを、本装置1台で完結できます。

可能な測定とアタッチメント

薄膜測定一式

薄膜試料用ステージ(χ:0°〜90°、φ:0°〜720°、Z:-4〜+1mm)に、In-Plane測定用アタッチメントを組み合わせることで、薄膜評価で必要となる主要測定を一通りカバーします。

  • In-Plane測定:試料表面にほぼ平行にX線を入射し、面内方向の格子面からの回折を捉える測定法。通常の θ-2θ測定では得られない、膜面に水平な方向の格子定数や配向を評価できます。半導体ヘテロ構造、配向膜、エピタキシャル薄膜の歪み解析などで威力を発揮します。2θχ軸 0°〜120°以上、面内のあおりを補正するRx-Ry軸を装備。
  • ロッキングカーブ測定:特定の回折ピークに合わせ、入射角ωのみを揺らして測定する手法。ピークの幅から結晶のモザイク性・配向の揃い具合を定量できます。
  • X線反射率(XRR)測定:低角領域の反射率振動から、薄膜の膜厚・密度・表面/界面ラフネスを非破壊で評価。多層膜の各層も評価可能です。
  • 逆格子マップ(RSM)測定:ω-2θ平面を2次元スキャンし、エピタキシャル薄膜の格子歪み・組成・緩和度を2次元的に可視化します。
  • 極点測定:試料を回転させながら回折強度を測定し、結晶配向(集合組織・テクスチャ)の3次元分布を評価します。
  • Geモノクロ+アナライザによる高分解能配置:Ge(220) 2結晶/4結晶、Ge(400) 2結晶の入射モノクロと、Ge(220)/Ge(400)受光アナライザを組み合わせ、エピタキシャル薄膜の格子定数・組成・歪みを高精度に評価できます。

小角散乱(SAXS / 超小角散乱 USAXS)

X線の散乱角が非常に小さい領域(小角領域)を測定することで、結晶構造ではなく数nm〜サブミクロンのナノ・メゾスケール構造を評価する手法です。

  • 通常のSAXS測定:0.05mm以下の入射スリット、真空パス、透過法用試料ホルダで、おおよそ1〜100nmスケールの構造(粒径、空隙、相分離など)を評価します。
  • 超小角散乱(USAXS):U-SAXSアナライザを用いた疑似Bonse Hart光学系により、通常のSAXSでは届かない低Q領域まで測定可能。数百nm〜μmオーダーの大きな構造(コロイド粒子、エマルション、ポリマー相分離、多孔体の大きな空孔など)を評価できます。

2D SAXS / WAXS(透過配置)

2次元検出器を用いて散乱パターン全体を一度に取得する測定法で、配向や異方性のあるナノ・サブナノ構造の解析に最適です。フィルム・繊維・液晶・自己組織化材料などの研究で使われます。

  • 透過アタッチメントヘッド(XY ±10mm以上)を装備。
  • 2D-SAXS:コリメータ φ0.05mm/ガードピンホール φ0.1mm以下の光学系で、ナノスケール構造の異方性を2次元マップとして取得。
  • 2D-WAXS:コリメータ φ0.1mm/ガードピンホール φ1mm以下の光学系で、結晶配向や分子パッキングを2次元的に評価。
  • 大型真空パスを装備し、低角域でも空気散乱を抑えて高S/Nのデータを取得します。

GI反射 SAXS / WAXS(斜入射配置)

X線を試料表面に対してごく浅い角度で斜入射させることで、バルク(基板)からの寄与を抑えて薄膜部分の情報を選択的に取得する手法です。表面・界面・薄膜中の構造評価に強力です。

  • GI-SAXS:試料-検出器距離300mm以上を確保し、薄膜中のナノ構造(自己組織化膜、ブロックコポリマー、ナノ粒子配列など)を評価。
  • GI-WAXS:Apertureスリット光学系で、試料-検出器距離65mm以下の近接配置に対応。有機半導体薄膜の結晶配向解析などに有効です。

微小部XRD(100μm微小点ビーム+XYマッピング)

通常のラインビームを微小化することで、試料の特定位置だけを狙って測定したり、位置を変えながらマッピングしたりできる測定法です。不均質な試料や、デバイスの特定領域だけを評価したい場合に有効です。

  • CBO-μによりラインビームを φ100μm以下のポイントビーム に変換。
  • 同サイズの照射野で比較した場合、従来のコリメータ方式に対し 約10倍の回折強度 を実現(Si NIST640d測定)。微小領域でも実用的な測定時間でデータが取れます。
  • φ4インチ試料を搭載できる XYステージ(X:±50mm、Y:±50mm)と、高解像CCD観察カメラ(3840×2700以上、200倍までデジタルズーム)を装備。観察画像で位置を確認しながら狙い撃ち測定・マッピングが可能です。

XSPA-400 ER × CBO-α による低バックグラウンド測定

XSPA-400 ER は、0/1/2次元の多次元測定が可能でありながら、Cu-Kαで340 eV以下という高エネルギー分解能をもつ画期的な検出器です。これに単色化光学系 CBO-α を組み合わせることで、汎用機では難しい低BG測定が実現します。

  • 蛍光X線カット:試料中の遷移金属(Mn, Fe, Co, Ni など)から発生する蛍光X線を検出器側で電子的にカットでき、Kβフィルターレスでも低バックグラウンドな測定が可能。
  • 微量相検出:CBO-α(単色化発散ビーム)との組み合わせで、Li(Ni,Mn,Co)O₂正極材中の Li₂CO₃ 0.2wt%レベルの微量相、CrMo鋼中のセメンタイト、鉄鋼中の残留オーステナイトなど、高S/Nが要求される微量成分の検出に威力を発揮します。
  • 強度優先 / 角度分解能優先 のワンタッチ切替:検出器配置を縦/横に切り替えることで、測定目的に応じて選択可能。

研究分野別の主な活用シーン

研究分野主に活用する測定
半導体・エピタキシャル薄膜In-Plane、ロッキングカーブ、逆格子マップ、極点測定(Geモノクロ+アナライザによる高分解能配置)
有機半導体・高分子薄膜GI-SAXS / GI-WAXS、2D散乱、X線反射率
自己組織化膜・ブロックコポリマーGI-SAXS、2D-SAXS
ナノ材料・コロイド・分散系2D-SAXS、USAXS(疑似Bonse Hart光学系)
電池材料(正極・電解質)XSPA-400 ER × CBO-α による微量相検出(Li₂CO₃ などの副生成物)
鉄鋼・合金XSPA-400 ER による残留オーステナイト・微量析出相の高S/N定量
不均質材料・デバイス特定領域100μm微小部XRD(CBO-μ)+XYマッピング
粉末試料・触媒粉末定性分析、結晶相同定(ICDD PDF-5+データベース利用)

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